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【海外情報レポート】労務管理の基礎「労働協約作成上の注意点」(ジャカルタ)

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▼基本的な5つの注意点

 17号に続き、労働協約についてとりあげる。

    労働協約作成上の注意点として、まず、組合員の資格については、正社員のみに限定し、契約社員や派遣社員は組合員にならないと明記すべきである。

   次に、週における休日の策定。設立直後の会社があまり忙しくない時に、「土日が休日で、就労日は月曜日から金曜日」と安易に全社員にあてはめようとするケースが多いが、その場合、段々忙しくなって土日も働くシフトができた際、必ず割増賃金の話が出てくる。「これはシフトだ」と、後に組合と交渉しても非常にもめるので、週の休日の策定はシフトが見込まれる場合、注意が必要である。

   3つ目は処罰規定。規律、禁止事項だけ書かれている場合が多く見受けられるが、違反時の警告に ついてきちんと定めていないと、禁止事項が書かれていても処罰できないケースが起こる。体系的に罰則規定を作ることが大切である。

    続いて、賃金の見直し方法。組合側は「賃金の見直し」ではなく「昇給」という言葉を使いたがるが、これも色々なデータを考慮して、できるだけ客観的に見直しできるような言葉にすべきである。賞与規定に関しても、「賞与を協議する」という文言を入れてしまうと、組合は必ず「協議して決めましょう」と言って交渉してくる。賞与の規定は書かない方が良いという意見もあるが、規定を書くのであれば、会社の専権事項として会社が決めるということをはっきりと書くべきである。

   5つ目は人事権。これも大事な点で、人事異動、解雇などは会社の専権事項であり、組合と協議するものではないことを、きっちりとおさえるべきである。

  

▼会社、家族、同僚を取り巻く価値観

   このほか、組合からの要求でよく聞かれることとして、労働者の採用に関して「自社で働いている労働者の家族を優先して採用する」というものがある。また、昇進について、「勤続期間と業績に基づいて決める」というものがある。インドネシア人の間では、長く勤務する人を優先的に上位ポジションに上げようとするマインドがあるので、そういった面でも注意が必要である。さらに役職について、ある役職が空席になった時、必ず「同じ部署の人から後任を充てろ」と言ってくる。これに合意してしまうと人事異動が困難になり、組合の合意まで得るような話になってくるため、注意が必要である。また、労働者の誕生日や会社の創立記念日に、会社は労働者に対して何か支給するように書かれているケースも見受けられるが、こうしたことは義務ではないため、その必要性を充分検討したうえで表記の是非を判断すべきである。

 

▼他社のコピーは厳禁!

  労働協約は労働組合と交渉した結果である。つまり、長く当地で操業している会社は、色々な交渉の経緯によって、労働者に譲った部分も使用者が勝ち取った部分もすべて含めた形で労働協約を度々改訂し、現在に至っている。そういったものを進出してきたばかりの企業が真似て使うと組合側にかなり有利な条件まで入ってしまうこともあるので、他社のコピーは絶対やめるべきである。ぜひともフレッシュな目で、専門家の協力を得て作成いただきたい。

 

(ジャカルタ・ジャパン・クラブ 事務局長 清水 力)