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中国強制認証(CCC)制度とITセキュリティ製品(海外レポート・北京)

   天安門.JPG

 中国は各種電気製品、自動車部品、医療機器などの"安全"確保を目的に、国内機関の強制認証に適合しない製品の生産、販売、輸入を禁止しています。「中国強制認証(CCC=China Compulsory Certificate)制度」です。日本からの輸入製品であれば中国から日本の工場に出張者が来て調査することもあるなど、手間、時間、経費と外資企業には大きな負担になっています。

 

 2008年1月、この制度の対象にITセキュリティ製品(ファイアフォール、セキュアOS・DB、侵入検知システム、ネットワーク脆弱性検査製品などソフトも含む13品目)を追加し、20095月から実施すると発表されました。照明やタイヤの"安全"とは、どうも意味合いが違います。使い勝手の悪いソフトにストレスを感じた人が刃物を振り回すことを心配、ということではもちろんなくて、「個人情報の安全を守る」等と当局は説明するのですが、国家の"安全"を守る観点もあるだろうと推測されています。

 大量破壊兵器拡散防止を目的とするキャッチオール規制など安全保障上の貿易規制は日本にもあり、

米英独仏等も同様ですが、中国の制度はユニークです(暗号ソフトを登録制とする「国家暗号管理条例」という法律があり、性格の類似が指摘されています)。各国は官民とも、①貿易阻害的である、②認証を受けるためにソースコードの提出などを求められる恐れがあり、結果として知的財産保護の観点、安全保障上の観点からセンシティブにならざるを得ない等、次々に懸念を表明しました。中国日本商会(在中国日本商工会議所)でも7月に、電気・電子業種の会員を中心にCCC対応タスクフォースを組織、JEITA(電子情報技術産業協会)北京事務所を司令塔として日本国内とも連携、経済産業省はじめ政府とも連携しながら、情報収集や要望活動に取り組んできました。

 事態がはじめて動いたのは2009429日。実施予定51日の2日前。麻生総理大臣(当時)の訪中の日でした。前日、これまで官民が要望活動をしていた米、EU、日本、韓国の大使館、民間団体にCCC実施機関である中国認証認可監督管理委員会(CNCA)から召集がかかり、2910時に会議を開催。この場で、①実施を1年延期、②政府調達に対象を限定、③13品目の技術目録を発表と説明がありました。会議終了後の11時過ぎにCNCAのホームページに目録がアップされています。

 午後、麻生総理が訪中。夜に温家宝総理と会談しました。本件は議題化されており、麻生総理は予定どおり懸念を表明しました。温総理からは、皆さんの意見を踏まえ実施を猶予し、政府調達に限定したと発言があり、それに対し、麻生総理から、中国の場合は政府調達の範囲が大きいので貿易阻害的になるのではないか懸念すると応酬しました。外形的には官民の取り組みと総理が議題化したことの成果が出たと評価しても間違いではないと思います。毛沢東博物館前のレリーフ.JPG

 その後も国有企業の扱いを中心に「政府調達の範囲」が問題になっていますが、WTO政府調達協定に加入していない中国では、外資企業の政府調達参入は限定されており(これもまた別の問題なのですが)、政府調達に限定された成果は大きなものでした。

 しかし、いったん制度が導入されれば、大手国有の金融機関や通信会社が自社の調達基準に自主的にCCCを採用する、財政部支出を理由に政府調達と定義するなどの可能性もあると指摘する関係者もいます。

 実はITセキュリティの分野ではコモンクライテリアと呼ばれる国際規格・相互認証の仕組みがあります。しかし中国の参加は期待できない情勢です。

 以上、2009年の話題のヒトコマです。 一番の問題は、中国は今や、中国のルールに従わないなら退場してもらって構わないと言いかねない力を持ちつつあるということかもしれません。

(中国日本商会 事務局長 青山 直樹)

 

追記:323日、直嶋経産大臣が「(CCCについて)中国側から国有企業の調達に適用されないことを示す文書が日本政府に提示された」と発表しています。

 

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