3ゾーンで郊外開発を抑制
青森市の試算によると、1970年から2000年の30年の間に、市街地中心部から郊外に流出した13,000人を受け入れるために要した行政コストは、道路や下水道などのインフラ整備など約350億円。市街地拡大に伴い、多大な行政投資を余儀なくされた。加えて、日本有数の豪雪地域として知られる同市では、街が郊外へと拡大し、道路延長が増加した結果、毎年、除雪費に多額を投じている。
そこで、同市は、増大する行政コストの削減、郊外のスプロール化や中心市街地の空洞化を食い止めるため、都市計画マスタープラン(平成11年策定)において、@市街地の拡大に伴う新たな行財政需要の抑制、A過去のストックを有効活用した効率的で効果的な都市整備、B市街地の周辺に広がる自然・農業環境との調和、を目指した「コンパクトシティの形成」を都市づくりの基本理念に掲げ、都市整備を進めている。
具体的には、市内を「インナー」、「ミッド」、「アウター」の3ゾーンに分類し、各ゾーンごとに交通体系の整備方針を定め、まちづくりを進めている。原則、「アウター」と位置づけられたゾーンでは開発を行わず、学術、芸術、文化活動や、自然を楽しむレクレーションエリアとして維持している。
進むまちなか居住
同市は同時に、中心市街地の活性化策にも力を入れている。平成13年1月に、青森駅前再開発によってオープンした地下1階、地上9階建てビル(「AUGA」アウガ)には、地下に生鮮市場、上層階に市の図書館、中間階に商業施設や公共施設が入居。利用者の増加に伴い、中心市街地に賑わいが戻ってきた。
また、駅前再開発地区の一角にケア付きの高齢者対応マンションが完成するなど、近年、中心市街地のマンション建設が急増し、「交流できる、買い回れる、暮らせる」中心市街地が、徐々に再生されつつある。
地権者の理解がカギ
少子高齢化が進み、地方自治体の財政が一段と厳しさを増す中で、拡大路線を転換した青森市の方針は、地方自治体におけるまちづくりの大きな方向性を示している。しかし、自治体としては、郊外開発を抑制したくても、書類が整っていれば開発を許可しないわけにはいかず、開発を望む地権者などに対して、どのようにして理解を得ていくのかが今後の大きな課題である。