電源交付金を活用した地域振興

(会議所ニュース、電源立地特集第3号:平成13年9月21日号)


 日本商工会議所は去る7月26日〜27日、商工会議所福利研修センター「カリアック」(静岡県浜松市)において、平成13年度電源立地商工会議所連絡調整協議会を開催した。会議では、資源エネルギー庁電源立地対策室の渡辺英樹室長補佐などから、電源立地にかかわる最近の動向や地域振興事例などについて説明を聴いた。また、電源三法交付金を活用した先進事例として浜岡町(静岡県)の浜岡町総合福祉保健センターと(株)はまおかケーブルテレビを視察した。今回の特集では同協議会の模様と、青森商工会議所・細井常務理事からの寄稿を掲載する。

・着実に電源開発推進
・CO2対策では原子力
・地元受注の促進はかる
・高齢者福祉を充実
・CATVで情報提供
・【寄稿】電源立地を活用した地域おこし(上) 

電源立地商工会議所連絡調整協議会とは

 電源立地推進地域の現状や地域振興事例などについて、情報交換などを行うことを目的に、平成10年度に日本商工会議所に設置された。メンバーは電源立地関係地域の14商工会議所。

着実に電源開発推進

    資源エネルギー庁 電源立地対策室長補佐 渡辺 英樹

○電源立地に関する国の施策について

 日本国内の電力需要は着実に増え続け、平成11年度には8,169キロワットに達しており、35年前(昭和40年)と比較して約5倍以上となっている。こうした需要に見合った電力供給を行うため、着実な電源開発を進めることが重要である。

 電源立地を円滑に進めるために電源三法交付金制度がある。電源三法とは電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電所用施設周辺地域整備法の3つの法律である。この電源三法交付金制度は、昭和49年、当時の家電製品の普及や高層ビルの建設などによる業務用電力量の増加、電気エネルギーへの転換の進展などから原子力を中心とした電源開発が急務となり、そのためには電源立地地域の地元住民の理解と協力が不可欠という観点から制定された。制度創設以来、支援策の充実、対象期間・地域の拡充などがはかられ、平成13年度には予算額で、総額1,800億円余りの施策が講じられている。   

○総合資源エネルギー調査会の報告書「今後のエネルギー政策」について

 わが国では、2010年度のエネルギー起源CO2の排出量を90年度と同水準に削減するという目標を設定しているが、現在のエネルギー政策の枠組みを維持した場合、2010年度のCO2は90年度に比べて6.9%増加する見込みである。このことから「環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現する」という今後のエネルギー政策の基本的なあり方として、従来からの原子力導入などの対策に加えて、(1)省エネルギー、(2)新エネルギー、(3)燃料転換などの措置が追加的に必要である。


CO2対策では原子力

(財)電力中央研究所狛江研究所 研究参事・上席研究員 林  敏之

 戦前から戦後まもない間は、電力生産は「水主火従」だったが、高度経済成長期から、石油火力を中心とした「火主水従」に変わっていった。その後、環境問題やオイルショックがあり、原子力発電の重要性が高まるなど、電源の多様化が図られている(表1参照)

 また、発電機の大容量化や火力発電の熱効率の向上、送配電損失率の低下など電力システムの効率化により、電気料金はオイルショック後に上昇したものの、その後価格は下降傾向にあり、平均物価指数と比較しても上昇率は小さい(表2参照)

 今後の電力需要の伸びは日本全体で1.3倍、地域的には1.5倍から2倍のところもでてくる。この電力需要の伸びと地球温暖化問題、CO2対策を勘案して電源問題を考えると、やはり原子力発電ということになる。新エネルギー発電は、発電量が数万オーダー、10万オーダーにとどまっており、トータルで日本の電力を賄うには、まだ不充分である。

(表1)(出所:「講師資料」より)

(表2)(出所:「講師資料」より)


地元受注の促進はかる

         松江商工会議所 指導部指導第一課長 近藤 達郎 

 松江市から日本海側に約15キロメートル離れた鹿島町に、日本で5番目の原発サイトである島根原子力発電所がある。島根原子力発電所は、昭和49年3月に運転を開始した1号機(46万キロワット)と平成元年2月に運転を開始した2号機(82万キロワット)が設置されており、1・2号機の北西側に平成22年3月から運転開始予定の3号機が計画されている(約137.3万キロワット)。

 松江商工会議所をはじめ、地元の鹿島町商工会、島根町商工会は、1・2号機建設に際し、受注量の大部分が県外事業所に発注された反省に立って、3号機増設に伴う地元への受注拡大をはかるため、「地域商工業受注促進協議会」(会長=皆美健夫・松江商工会議所会頭)を今年1月に設立した。同協議会は3号機の建設工事などの一括受注先となる共同受注組織で、地元および隣接地区の会員事業所への情報提供や受注促進のための業務調整を行い、準備工事、本工事が終了する平成22年まで運営される予定である。現在、同協議会の会員数は305事業所で、事務局を松江商工会議所内に設置している。


高齢者福祉を充実

浜岡町健康福祉課長 阿形  操

 健康を基本とする地域づくりを柱の一つに掲げている浜岡町では、電源立地促進対策交付金など(表4参照)を活用して昭和61年に町立浜岡総合病院を建設し、それまで総合病院のない浜岡町民の医療への不安を払しょくした。この総合病院を核に、高齢者福祉の充実をはかる「浜岡町総合保健福祉センター」を平成13年5月に設置し、同センターは現在、ケーブルテレビ回線を活用した在宅健康管理サービス「う・ら・ら」の運用開始に向けた準備を進めている。この「う・ら・ら」は、高齢者がいる家庭に健康管理がチェックできる端末機を設置し、健康データをセンターに送信することで、保健婦や医師の健康指導と適切な福祉サービスを受けることができる。

(表3)町立浜岡総合病院の建設と電源三法交付金(単位:百万円)

交付金名

年度

事業名

事業費(交付金充当額)

電源立地促進対策交付金(病院関係のみ)

昭和60年〜61年

病院建設

2,718(1,651)

平成元年〜2年

病棟増築

2,426(1,264)

平成4年

医療機器導入

286(260)

要対策重要電源立地推進対策交付金(※)(病院関係のみ)

平成8年

高度医療機器導入

133(120)

原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金(病院関係のみ)

平成9年

医療機器整備

127(120)

 

病院運営

154(130)

 

医療機器整備

106(95)

平成10年

病院運営

308(280)

 

医療機器整備

17(17)

平成11年

病院運営

301(287)

平成12年

病院運営

212(207)

(※)現、「電源立地等初期対策交付金」


CATVで情報提供

(株)はまおかケーブルテレビ 局長 西原  敏

 浜岡原子力発電所5号機の増設にあたり、住民が発電所立地のメリットを実感できるように、「電源立地促進対策交付金」(交付金額23億円)を活用し、はまおかケーブルテレビ「まおまお」の平成14年3月の開局に向けた準備を進めている。多様な通信機能を持つケーブルテレビは、各家庭のテレビ画面を通じて行政機関、学校、病院、原子力発電所の情報を即時に入手可能とし、また双方向の情報交換ができる。ケーブルテレビ電話(ファックス)を使用すると、町内での通話は何回かけても基本料金(月1,500円)の範囲内のため利便性が高い。また、高齢者が扱いやすい専用のリモンコンを提供し、簡単な操作で、入手したい情報を利用できるよう工夫する。

<CATVの説明を熱心に聞く委員>

<浜岡町の概要>
 静岡県浜岡町は遠州灘に面し、浜松まで車で約60分。東海地方唯一の浜岡原子力発電所は、昭和51年に1号機、53年に2号機、62年に3号機、平成5年に4号機が運転を始め、現在5号機の建設が急ピッチで進められている。

【寄稿】電源立地を活用した地域おこし(上)〜エネルギー供給基地を目指して〜

             青森商工会議所 常務理事 細 井  仁

 わが国は、先進国の中でも一次エネルギー供給における化石燃料への依存度が高いことから、環境問題にも配慮して、可能な限り、原子力を中心としたエネルギー源に代えていくことが重要である。

 青森県では、東北電力・東通原子力発電所1号機の建設工事が順調に進んでいる。東通村は本州最北東に位置し、北は津軽海峡、東は太平洋に面した南北に細長い村であり、西にむつ市、横浜町、南に原子燃料サイクル施設、石油備蓄基地が建設されている六ケ所村が隣接している。

 この東通原子力発電所計画は、東北電力、東京電力の2社が、今後ますます増える電気の需要に対応するために、長期的な視野に立ち、原子力、LNG(液化天然ガス)など電源の多様化を進めている事業の一つである。計画では、東北電力が110万キロワットの沸騰水型軽水炉と138.5万キロワットの改良型沸騰水型軽水炉の2基、東京電力が138.5万キロワットの改良型沸騰水型軽水炉を2基、合計で525.5万キロワットの発電能力を持つ原子力発電所を建設することになっており、東北電力1号機は平成17年7月の運転開始を目指して工事中である。

 また、同村に平成13年8月、民間企業の大規模風力発電所として「岩屋ウィンドファーム」が完成、高さ99メートルの風車25基がずらりとならんでいる。この風力発電は、出力が1基当たり1,300キロワット、合計出力32,500キロワット。国内最大級の風力発電所で、日本の平均的家庭1万8千世帯から2万世帯が使う電力を発電できるとのことで、11月からは商業運転が始まる予定である。

 このほか、下北半島大間町には、電源開発株式会社が進めている大間原子力発電所の建設計画がある。出力138.3万キロワット、着工は平成14年度の予定。平成20年の運転開始を目指し、改良型沸騰水型軽水炉として現在港湾設備工事や付け替え道路工事などが行われている。さらに、六ケ所むつ小川原地域には、21世紀の地球環境に調和する究極のエネルギーとして「国際熱核融合実験炉(ITER=イーター)」の誘致計画があり、青森県民が一丸となって運動を展開している。このように、青森県下北半島は、国内のみならず世界のエネルギー供給基地として開発が進められている。

 東通村は、人口約8千3百人、世帯数約2千6百、総面積が約3百平方キロメートル、海岸線だけでも約65キロメートルにも及ぶ大きな村で、平成7年3月に策定された「東通村新総合開発振興計画」に基づいて、「いつまでも住んでいたい、住んでみたくなる」快適な生活ができる村を目指し、村民一丸となって「飛躍する未来を拓く村づくり」を進めている。

 原子力発電所の誘致については、昭和40年5月、東通村議会が原発誘致を決議し、同年10月に青森県議会は東通村からの原発誘致請願を採択した。東北電力と東京電力が昭和45年に原発立地を公表して、地域住民へのPA活動、関係6漁協との漁業補償交渉、環境影響調査、公開ヒアリングなどが実施され、平成8年電源開発調整審議会で了承した後、実に原発誘致決議から34年ぶりの平成10年12月に東北電力東通原子力発電所第1号機の建設が着工された。東北電力にとって女川原子力発電所第1号機の着工以来、19年ぶりとなる2番目の原子力立地であるとともに、わが国においても10年ぶりの新規原子力立地となった。平成13年7月末の総合工事進捗率は約33%となっている。

<工事が進む東通原子力発電所>


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