商工会議所LOBO調査からみた2015年度の景況(2016年4月)

2015年度の概況 
  〜全産業業況DIは、インバウンドを含む観光需要や自動車などの製造業が牽引するも、人手不足の影響が拡大する中、 価格転嫁遅れや新興国経済の減速などから、年度後半は足踏み続く〜


   2015年度の全産業業況DIは、4月(▲15.3(前月比+9.4ポイント))、5月(▲13.5(同+1.8 ポイント))と2カ月連続で改善。比較対象となる前年同月は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減があった 時期であるため、留意が必要なものの、株高や雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は持ち直しの動きがみられた。
 夏頃からは、自動車・電子部品・工作機械をはじめとする製造業の受注増や住宅投資、好調なインバウンド、プレミアム 付商品券による政策効果などの好材料があった一方、人手不足の深刻化や人件費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ などが経営の足かせとなり、一進一退の動きが続いた。
 年度後半になると、インバウンドを含む観光需要や北米向け輸出が好調な自動車関連が牽引したほか、原油安によって 燃料価格・原材料価格が下落するなどの恩恵が拡がったものの、中国をはじめとする新興国経済の減速に伴い、一部の 製造業などで弱めの動きとなったことに加え、暖冬の影響から個人消費も停滞した。また、年明け以降も、株価・為替 の乱高下やマイナス金利の導入など、不安定な金融市場を受けた景気の不透明感の増大が中小企業のマインドを下押し、 足踏み状況が続いた。
 以下、2015年度の概況について、4半期毎に回顧する。


4〜6月期
   全産業業況DIは、比較対象の前年同月が消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減があった時期である ことから、4月(▲15.3(前月比+9.4ポイント))、5月(▲13.5(同+1.8ポイント))と 2カ月連続で改善した。6月は、円安進行に伴う仕入価格上昇をはじめ、コスト増が続く中、価格転嫁の遅れなど が下押しし、▲15.3(前月比▲1.8ポイント)と一服したものの、総じてみれば、株高や雇用・所得環境の 改善を受けて、緩やかな回復基調が続いた。
 建設業からは「経済対策による住宅ローンの金利引き下げにより、中古住宅やリフォームの引き合いが増加」、 製造業からは「北米など輸出向けの自動車部品が好調。生産性を高めるため、省力化投資を行う」、小売業からは 「駆け込み需要の反動減の影響が一巡し、前年同月比では衣料品などの売上が伸びている」などのコメントが寄せられた。
 他方で、円安が進む中、食料品の相次ぐ値上げや原材料の輸入価格上昇などを受けて、「海外産の冷凍すり身などの 仕入価格が上昇しているが、転嫁が進まず、採算は厳しい」(製造業)、「円安に伴う飼料価格の上昇を受けて、鶏卵 の卸値が高止まり。今後、需要減少が懸念される」(卸売業)、「食料品の値上げによる収益圧迫が続くため、採算が 合わないメニューの見直しを検討する」(サービス業)など、収益の圧迫を指摘する声が相次いだ。


7〜9月期
 全産業業況DIは、7月が▲20.0と、台風の影響により客足が遠のいた小売業や公共工事が減少した 建設業などが下押しし、前月から▲4.7ポイントの悪化。8月になると、プレミアム付商品券の政策効果 や猛暑による夏物商品の売上増などが寄与し、▲14.9(前月比+5.1ポイント)と改善したものの、 9月には▲17.3(前月比▲2.4ポイント)と再び悪化した。中小企業の景況感は、好調なインバウンド を含む観光需要や住宅投資の持ち直しなどが押し上げた一方、台風・大雨などの天候要因や人手不足に伴う 人件費上昇、仕入価格の高止まりなどが足かせとなり、一進一退の動きとなった。
 中小企業からは、「首都圏を中心に、貸家やマンションなどの受注が堅調」(建設業)、「エアコンなど 家電関連の受注が持ち直し。スマートフォン向けも新機種用に動きが出始めている」(製造業)、「プレミアム 付商品券の効果により、ギフトや化粧品、婦人服、時計が好調」(小売業)などの声が寄せられ、一部では業況 改善に向けた動きがみられた。
 ただし、「受注量は概ね例年並みを確保したが、取引先からのコストダウン要請が強まっている」(製造業)、 「人材定着のため、賃上げを検討しているが、人件費の上昇は収益を一段と圧迫するため、踏み切れない」(卸売業)、 「食料品の相次ぐ値上げに加え、天候不順により野菜価格も上昇しており、採算は厳しい」(サービス業)などの コメントも多く、地域や業種・業態によって、回復のペースがばらついた。


10〜12月期
 全産業業況DIは、10月が▲17.5(前月比▲0.2ポイント)、11月が▲18.1 (同▲0.6ポイント)、12月が▲17.2(同+0.9ポイント)と、足踏みが続いた。 原油安に伴い、燃料費の抑制などの恩恵がみられる中、観光需要や北米向け輸出が堅調な自動車関連が 牽引役となった。他方で、人手不足に伴う受注機会の損失や営業活動への支障を指摘する声が相次いだほか、 経営の足かせとなっている人件費の上昇、価格転嫁の遅れに加え、中国経済の減速に伴う受注減、消費者の 節約志向や暖冬の影響による売上の伸び悩みなども中小企業のマインドを下押した。
 製造業からは「取引先が海外から国内での調達にシフト。受注が伸びていることから、新規設備投資を 行う予定」、小売業からは、「お歳暮やクリスマスにあわせたイベントが奏功し、客足が伸びた。また、 初売りに向けて高価格帯の福袋を投入する」、サービス業からは、「観光客が増加傾向にある。県が発行 した旅行券の効果もあり、年明け以降も売上増を見込む」などのコメントが寄せられた。
 一方、「原油安に伴う燃料価格下落の恩恵はあるものの、人件費の負担増が続く」(建設業)、 「ドライバー不足が深刻化しており、長距離輸送の受注ができない」(サービス業)など、人手不足や それに伴う人件費上昇を指摘する声が相次いだほか、「建設機械関連をはじめ新興国向けの引き合いが鈍く、 休業日を設けるなど、生産調整を行わざるを得ない」(製造業)、「12月に入っても気温の高い日が続き、 冬物衣料や保温グッズなどの動きが鈍い」(小売業)などのコメントもみられた。


1〜3月期
 全産業業況DIは、1月に▲19.4(前月比▲2.2)、2月に▲22.8(同▲3.4)、 3月に▲23.6(同▲0.8)と、総じてみれば足踏み状況にあるものの、人手不足の影響拡大や 消費低迷の長期化に加え、新興国経済の減速、不安定な金融市場など、取り巻く経営環境の厳しさが 中小企業のマインドを鈍らせており、一部で弱い動きがみられた。また、先行きに対しても、インバウンドを含め、 観光需要の好調が続く中、設備投資の持ち直しや補正予算・平成28年度予算の早期執行などへの期待感が 伺えるものの、懸念材料が払拭できず、景気動向や業績見通しに確信が持てない中小企業も多く、慎重な見方が続いた。
 北米市場が堅調な自動車関連や観光需要などに牽引され、「取引先の自動車メーカーの好調に伴い、受注が増加。 原材料価格や燃料費の下落によって、収益も改善傾向にある」(製造業)、「北海道新幹線開業に伴い、観光関連の 需要増が期待できるため、付加価値の高い新商品開発に注力する」(卸売業)、「訪日外国人の増加もあり、客室 稼働率が7割程度で安定。設備の改修や駐車場の増設、無線LANの整備などを進めたい」(サービス業)などの声が聞かれた。
 他方で、「技術職不足が深刻化する中、人件費の上昇に歯止めがかからず、採算は悪化傾向にある」(建設業)、 「新興国向けの受注低迷が続く。また、為替相場が不安定であり、今後の業績への影響が心配」(製造業)、 「必要な物しか買わない消費者が一段と増えており、値下げをしても売れ残る商品が多くみられる」(小売業)など、 人手不足の影響拡大や売上・受注の低迷を指摘するコメントも寄せられた。

                                      
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