2010年度の概況 〜全産業業況DIは一進一退で推移も、3月の東日本大震災により悪化、先行きは不透明〜
2010年度は、全産業業況DIは5月に2007年11月以来、2年6カ月ぶりにマイナス30台を記録し回復傾向にあった。6月以降はマイナス40台をはさんで一進一退で推移していたが、3月は東日本大震災の影響により、前月比▲5.8ポイントの大幅な悪化となった(▲45.9)。10年度は円高の長期化、原材料価格の上昇・高止まり、消費者の低価格指向等により採算面で厳しい状況が続いた。また、震災の影響で原材料の供給が逼迫し、価格が一段と上昇、仕入単価DIは大幅に悪化した。先行き見通しDIも▲50.7(前月比▲4.8ポイント)と、先行きも含め中小企業の景況感は非常に厳しい結果となった。以下、10年度の概況について、4半期毎に回顧する。
|
| 4月〜6月期 |
全産業業況DIは依然として低水準ながら、回復傾向にあり、5月には2年6ヵ月ぶりのマイナス30台を記録した。しかし、6月は再びマイナス40台となった。
製造業からは、「原材料価格が上昇し、製品の販売価格への転嫁が喫緊の課題」、卸売業からは、「取引先からの値下げ圧力が高く薄利多売でなんとか利益を確保している」、サービス業・卸売業からは「天候不良による野菜の価格高騰により利益確保が難しい」とのコメントが寄せられた。
また、「住宅エコポイント制度の効果による受注増を期待」(建設業)、「家電では薄型テレビの売上が好調を維持している」(小売業)と経済対策の効果へのコメントが寄せられる一方、「公共工事の削減に加え、民間企業からの受注減少により引き続き厳しい経営状況」(建設業)とのコメントもあった。
|
| 7月〜9月期 |
全産業業況DIは、7〜8月は2カ月連続でマイナス幅が縮小したものの、9月は3カ月ぶりにマイナス幅が拡大(▲40.8)した。
建設業からは、「公共工事の受注競争が激しく低価格入札が多いため、収益状況は依然として厳しい」、製造業からは、「大手企業の海外生産移転に伴い受注が減少し、経営状況が非常に厳しい」といったコメントや「猛暑の影響により秋・冬物衣料の売上が低調、在庫が積みあがっている」(卸売業・小売業)という天候不良でのコメントも前期に続き寄せられた。
また、エコカー補助金の終了に関して「自動車生産・販売の減少を懸念」(製造業)、「自動車関連企業からの受注が減少する見込み」(運送業)とのコメントもあった。
|
| 10月〜12月期 |
全産業業況DIは、マイナス40台をはさんで一進一退で推移した。
建設業からは、「公共・民間工事とも減少し、少ない受注を巡って価格競争が激化」、卸売業からは、「小売価格の値下げ競争が続いており、食品を中心に卸売価格が抑制され、収益の確保が難しい」など、価格競争の激化のコメントが多く寄せられた。
また、円高傾向が続き、「円高により、取引先である大企業が、生産の海外移転や原材料の海外調達を積極化しており、売上に悪影響が及んでいる」(製造業)、「果物の輸出が伸び悩んでいる」(卸売業)といったコメントに加え、「仕入価格が低下せずに円高のメリットが感じられない」(小売業)といったコメントもあった。
|
| 1月〜3月期 |
全産業業況DIは、1〜2月はマイナス幅が2カ月連続で拡大。さらに、3月は東日本大震災の影響により前月比▲5.8ポイントの大幅な悪化となった(▲45.9)。先行き見通しDIは▲50.7を記録、2010年2月以来のマイナス50台と厳しい状況である。震災による部品の供給不足や停電に伴う生産活動の停滞に加え、原材料価格の一段の上昇、消費・売上の低迷を訴える声が多い。
震災前の1〜2月は、「住宅エコポイントや住宅関連減税の効果で、売上が前年を上回っている」(建設業)や「円高の影響で取引先からのコストダウン要請があり、厳しい経営状況」(製造業)、「寒い日が続いたことでスタッドレスタイヤ等季節商品の売上が好調だった」(小売業)、「来客数の減少に加え、食材の仕入価格、ガス料金の上昇により経営環境が厳しく、廃業する店舗が相次いでいる」(サービス業)といったコメントがあった。
一方、震災後の3月は「震災の影響で建築資材が届かないため、工事の完成が遅れるなど経営に悪影響が出ている」(建設業)、「地震により取引先からの部品供給が止まり、操業できない」(製造業)、「宿泊予約は、震災の影響でキャンセルが相次ぎ、経営は深刻な状況」(サービス業)といった厳しい状況を訴える声が全国から寄せられた。
|
|
|