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【最新海外事情レポート】中国における日系企業の拠点数、駐在員数の動向(上海)

読者の皆さんは中国全土に日本企業の拠点がいくつあるかご存知だろうか。

 

 

 

外務省の「海外在留邦人数調査統計(平成28年版)」によると2015年の拠点数は図表1のとおり33,390。これは米国にある7,849、ASEAN10カ国にある9,658という日系企業の拠点数を遥かに上回る数字である(いずれも2015年10月時点)。しかも中国の拠点数は日中の政治関係が悪化した2012年に一時減少(前年比▲7.1%)したものの、少なくとも過去10年間、増加基調を維持している。中国国内にこれだけ多くの拠点をもつ国・地域は香港や台湾を除けば日本が第1位であろう。これは私たちが中国との経済関係を考えるうえで決して忘れてはならない数字だと思う。

 中国における日系企業の現状を表すデータをもう一つ紹介したい。

  

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図表2は、今年6月、北京の中国日本商会が全国44の日本人組織(日本商工会や日本人会)を対象に、過去一年間における会員数、駐在員数の増減を調査した結果である。回答があった40組織のうち会員数が「3%以上増加」したのが5組織であるのに対して12組織(全体の3割)で会員数が「3%以上減少」している。また駐在員数については、「大きく減少」または「少し減少」と回答している組織が25(全体の約6割)にも及んでいる。ここで駐在員数の減少を指摘する日本人組織が6割にも及んでいることは特に注目に値すると思う。

 

 当商工クラブでも法人会員各社の駐在員数は2014年をピークとして明らかに減少に転じている。当地の日系企業は景気減速下にも拘わらず人件費やオフィス賃料等のコスト上昇を強いられる一方で現地中国企業や外資系企業との厳しい競争に晒されており、コストの高い駐在員を減らし現地化を加速している。業績が好調な企業のなかには一部に駐在員を増員する例も見られるが、駐在員を全て帰任させ、中国人社員あるいは日本からの長期出張者に置き換える企業も出てきている。企業の活動拠点を海外に設立することを国際化・グローバル化の第1段階とするならば、中国の日系企業はすでに次の段階に突入しており、いかに中国市場に根差した経営体制を作っていくか待ったなしの対応を迫られているようだ。

 

当クラブではこのような状況を踏まえ、今年度から「いかに中国法人の現地化を加速させるか」というセミナーや、着任間もない日本人駐在員を対象に「基礎からわかる人事・労務・税務セミナー」という短期集中講座を開催しているが、予想を上回る反響があった。一方で、ここ数年、日本からの対中投資は低迷しているが欧米諸国からの投資は積極化に転じていることにも留意する必要がある。つい最近でも米アップル社が広東省深セン市にR&D拠点を設置する構想を明らかにし、米コーヒーチェーン大手スターバックス社が中国への出店をさらに加速し5年以内に5000店舗体制にする方針を発表している。日本企業の駐在員数の削減が単なるコスト削減のためではなく、中国市場を攻略するための確たる現地化戦略の一環であることを願っている。

(上海日本商工クラブ 事務局長 小林 英文)