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【最新海外事情レポート】外国人労働者雇用凍結問題・日本食レストランの増加と食材の輸出拡大期待(クアラルンプール)

▼外国人労働者雇用凍結問題の背景と投資環境の変化

 

経済成長を支える労働者の不足を補うため、マレーシア政府は建設・農業・製造・サービス等の業界に従事する外国人労働者を他国から受け入れ、頼ってきた。その数は正規労働者で約200万人に及び、不法労働者は同数以上いると言われている

 

現在マレーシア政府は、2020年に先進国入りを目指す国家ビジョンに基づき、劣悪な労働環境におかれた外国人労働者の人権問題や犯罪・疾病の蔓延に対処すべく、社会秩序の維持に向けた政策を模索している。人権問題の改善は、TPP協定の署名・発効に向けて特に米国から求められている課題であり、国際労働機関(ILO)からも指摘を受けている。そこで本年3月に対策の一つとして打ち出された政策が、外国人労働者の雇用凍結である。

 

外国人労働者は、特にマレーシア人が好まない現場労働に従事しており、産業の裾野を支えてきた。そのため、雇用凍結はマレーシア政府と企業との間で意見の相違が生じやすい。

 

今後のマレーシアは、高付加価値型産業への投資やマレーシア人労働者のスキル向上への配慮がより求められ、外国人労働者の比率削減の強化や人頭税(外国人労働者のみ支払う税金)の値上げへの対応として自働化の促進等による生産性の向上や労働資源の再配分を迫られる。

 

マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)は、外処会頭を中心に幹部が政府高官と対話を重ね、上記問題に対して急激な政策転換の混乱とオペレーション継続の困難、その結果による経済損失を訴求し、早期に一部会員企業の凍結解除を勝ち取ったほか、3セクター(製造、建設、プランテーション)に限り条件つきで解除されるなどの成果を挙げた。今後も注視が必要な問題である。

 

 


 

 

 

 

 

 


  外処会頭とポールロウ首相との意見交換

 

 

 

 

▼日本食レストランの増加と食材の輸出拡大期待

 

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2015年のマレーシアからの訪日旅行者数は305,500人と過去最高を記録した。人口の約1%もの人々が訪日した計算となる。

 

多用な日本の食文化に魅了され、「本物」の日本食を味わったマレーシア人の口コミもあり、マレーシア内での日本食人気がさらに高まっている。かつての日本食は、富裕層を対象にした高級料理のイメージがあったが、今や中間層向けのカジュアルなスタイルへと変化。ラーメンやとんかつといった専門店、居酒屋スタイルの店舗なども出店し、その選択肢が大幅に増えてきている。JETROの調査によると、首都圏のクランバレーには600店を超える日本食レストランがあるという。

 

マレーシアには、世帯可処分所得が35,000米ドル以上の人々が約850万人存在するといわれる。このマーケットを対象に、日本食材の輸出拡大に向けた動きも活発化している。マレーシアには、ISETANやイオンなどの進出もあり、日本ブランドの認知度も高い。比較的所得の高い中華系マレーシア人を対象に、加工食品や青果物などの輸出を伸ばせる可能性がある。物流面では、コールドチェーンに改善の余地があるが、航空便は日本との間の週45便と多く、築地の魚がスーパーにも並ぶ。

 


(出所)国・地域別の農林水産物・食品の輸出拡大戦略

 

 

ISETANとクールジャパン機構の共同出資により、本年10月にはクアラルンプール伊勢丹LOT10店が全面改装される。全館を挙げて日本の魅力を表現する新しい店舗では、「日本の食」も商材の一つとなっている。日本食材のさらなるブランド力の高まりを期待したい。

 

(マレーシア日本人商工会議所 事務局長 久野 幹太)