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【最新海外事情レポート】 インドネシアの最近の治安情勢(ジャカルタ)

1月14日(木)午前10時頃、首都ジャカルタの中心部のスカイラインビルで爆弾テロ事件が発生した。スカイラインビルは当クラブの入居しているビルで、事件現場はまさに筆者が毎日コーヒーを買っていた米系コーヒーチェーン店であった。事件発生後、過激派組織「イスラム国(IS)」が今回の爆弾テロへの関与をほのめかしたことから、警察は当初、現在シリア在住でISに合流したとされるバフルン・ナイム氏が首謀者ではないかと発表した。その後の捜査で、過激派思想の師と仰がれ、インドネシア国内の刑務所に収監されている服役囚が事件の黒幕として浮上した。今回の爆弾テロ事件の首謀者も服役囚に複数回面会し、テロを実行すべき時期などに関して指示を仰いだと言われている。

これに対して警察・軍も、治安維持には非常に力を入れてきており、中部スラウェシ島で活動する過激派グループの掃討作戦を展開するほか、ジャワ島内でも爆弾製造拠点の摘発やテロに関与したとされる容疑者を次々と逮捕・拘留し、相応の成果が上がっているとの報道が見られる。また服役囚がテロ事件の黒幕になったことの反省から、刑務所の囚人管理体制にもスポットライトがあてられている。

爆弾テロ事件を受けて、当地では日本大使館などが主催する安全対策セミナーが開催された。リスクコンサルティング会社によると、政府のこのような対策により治安情勢は相当コントロールされているとの認識を示した。2002年以降に起こったような大規模な爆弾テロの可能性は大きくはないものの、ISからインドネシアにどれだけ帰還するのかが未知数であり、また過激派思想の信奉者が摘発しにくい細胞ネットワークを構成し、小規模な事案を起こすリスクがあると指摘している。

今回の事件を日系企業がどのように感じているかというと、企業によってまちまちな対応である。事件直後に取ったアンケートによると、各社の危機管理レベルに変化はあるかとの質問に対して、「危機管理レベルを上げた」とする企業が60%、「従来通り」とする企業が40%である。また、平常の危機管理レベルへ戻す見通しとして、概ね3か月間特段次の事案がなければ平常時に戻す、あるいは他社の動向を参考にして解除する、とする企業が多い。(下記アンケート結果を参照)

 http://jjc.or.id/houjin/news/160120_bincident_reaction/

筆者の肌感覚としては、事件当初は出張の取りやめや不要不急の外出の自粛などは見られたが、日本からの要人や経済視察団の来訪は元に戻り、ビジネスマンの出張往来で飛行機も混雑していると聞いており、平常に戻ったのではないかと感じている。今回のテロはジャカルタの中心部で起き、製造業の多くは周辺の工業地域に所在しているため、危機意識に温度差があること、また不幸にして死傷者も出たものの事件としては周辺国でのテロ被害よりも小規模であったことが挙げられると思う。

事件から3週間後の2月1日、事件の現場となったコーヒーショップは何ごともなかったように再開した。初日から客で混雑していたものの、それまで毎日通っていた筆者は怖くて足が遠のいていた。その後何かのきっかけで入店し、現在ではほぼ毎日通っている。顔なじみの店員もまだ働いている。こうして事件は風化していくのだろう。

                  写真)爆弾テロ当日のコーヒーショップ

 

(ジャカルタ・ジャパン・クラブ 事務局長 吉田 晋)