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【最新海外事情レポート】若年者の失業問題の解決策を探る韓国(ソウル)

◆二桁に迫る若年者の失業率

 

現在、韓国が抱える課題の一つに若年者の失業問題がある。15歳以上の失業率は3~4%前後で推移しているものの、若年者(1529歳)の失業率は二桁に迫る非常に高い水準で推移している。日本における失業率(総務省労働力調査、201610月)も、15歳以上が3.0%、1524歳が5.3%、2534歳が4.0%なので、日韓両国とも全体よりも若年者の失業率が高いという同じ傾向を示しているものの、現在は韓国におけるそれの方がより深刻であることが窺える。

 

若年者の失業問題を根本的に解決するためには、若年者の働く場所を増やすこと、すなわち、国内の雇用を増やすことが必要である。だが、韓国は輸出依存度が約4割と比較的高いため、諸外国の景気低迷の影響を受けやすい。現在の世界的な景気停滞はマイナスに働きやすいと言えるだろう。また、国内の需要が急激に増える、といった状況でもなさそうだ。というのも、韓国は日本以上に少子化が進んでいる状況だからである。合計特殊出生率は過去最低を記録した2005年の1.08から回復したとはいえ、1112といった水準にとどまったままだ。2030年には総人口も減少に転じると言われているほどである。

 

20169月の失業率は3.6%(全体)だが、若年者に限ると、9.4%と二桁に迫る水準だ(出所=ジェトロソウル韓国経済情報11月)

 

◆海外就職に活路

 

こうした中で、解決策の一つとして韓国が取り組んでいるのが、海外企業への就職支援だ。韓国雇用労働部(日本でいう厚生労働省)傘下の韓国産業人力公団は韓国人材採用(KMOVE)事業を通じ、若者の海外企業への就職を支援している。その主な内容は、韓国の人材採用を希望する海外企業と海外就職を希望する求職者をマッチングさせる「海外就職斡旋」、職務能力および語学能力が足りない人材に向けた研修プログラムを提供する「海外研修事業」、海外就業に成功した若年者に奨励金を支給する「海外就業成功奨励金」、円滑に海外就職ができるようメンターが海外就職希望者に様々な助言をする「KMOVEメンタリング」などである。昨年度は、この制度を利用して、2903人が海外企業に就職。そのうち日本企業へは632人が就職している。

 

本年度、これらのうち、「KMOVEメンタリング」に大きな動きがあった。これまでメンターは全て韓国人であったが、今年度から在韓外国人に向けて、メンター登録への呼びかけが開始されたのだ。アメリカ、中国、ヨーロッパなど各国のビジネスマンが、この呼びかけに応じる中、在韓日本人ビジネスマンもこれに応じた。誕生した日本人メンターは国別で見ると最大の12人。去る1014日に発足式が執り行われ、外国人メンター制度が本格的なスタートを切った。

 

日本人メンターの発足式で挨拶する韓国産業人力公団の朴英凡理事長

 

前述したとおり、韓国では現在、若年者の就職が非常に厳しい状況にある。難関大学を卒業し、英語や日本語を高い水準で操る、いわゆる「高度人材」でも就職には苦労するという。韓国産業人力公団は今年9月から職員を日本にも送り込んでいる。韓国内の若年層失業問題を解決するために行われている同事業。韓国に、そして人手不足に悩む日本に、どういった影響を及ぼすのだろうか? 今後の動きにも注目が必要だ。

 

(日本商工会議所 ソウル事務所長 関口正俊)