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転換期迎えたブミプトラ政策のかじ取りに注目(マレーシア)

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▼マ日国際工科院が9月に開校

今年9月、日マ両国政府連携の「マレーシア日本国際工科院」が首都クアラルンプールに開校する。日本の国立大学など22校が、精密機械や、電子工学分野の教育を支援し、約40人の教員を派遣する。同大学は、マハティール元首相が提唱した、「ルックイースト政策」の一環で進められていたもので、10年の準備期間を経て、開校に至った。人材開発での日マ連携が一つの形になったといえよう。

 

▼最低賃金制度を導入

 今年2月より、警備分野の最低賃金を月収700リンギ(約18,900円)とする制度が導入された。貧困層の縮小、労働者の海外流出防止を図り、経済成長につなげることが最低賃金制度導入の狙いである。今後さらに、繊維、電子、サービス分野でも同制度の導入が検討されており、企業側にとっては人件費の上昇要因となっていくだろう。

 

▼東日本大震災の影響

 現在、マレーシア政府は、日本からの食品輸入規制を行っている。輸入する食品に、放射能物質に汚染されていないことを示す証明書等の添付を義務付けている。日本の食品業者には申請手続の手間、証明コスト等の負担が発生している。証明書発行には少なくとも数日を要するため、鮮度が命の生鮮食品については、実質的に日本からの輸出ができない状態である。

 

▼入国審査に指紋認証システム導入

 今年6月から、すべての入国ポイントで、外国人を対象に指紋認証システムが導入された。所要時間は一人あたり20秒ほどであるが、従来に比べて入国審査に時間を要するので、マレーシア入国の際は注意が必要である。

 

2020年の先進国入りを目指し好調な経済

昨年度のGDP成長率は、7.2%で、貿易額18.3%増、自動車販売台数12.7%増、不動産取引額11.4%増と、前年度のマイナス成長から一転した。

今年度第1四半期のGDP成長率は4.6%で、マレーシア経済は2020年の先進国入りを目指し、依然好調な経済成長を続けている。

 

▼マレー人優遇政策の転換期

成長の一方で、多民族国家ゆえの懸念材料もある。マハティール元首相は、民族間の所得格差を是正するため、1971年よりマレー人優遇政策(ブミプトラ政策)を推進した。企業の設立や租税の軽減、公務員の採用等で、マレー系民族を優遇した。結果、マレー系民族の社会的地位は向上し、一定の社会的安定がもたらされた。しかし一方で、この政策が次の経済成長の足かせとなっているとの指摘もある。

2009年4月に就任したナジブ首相は、サービス分野において外資の参入障壁であった資本規制を撤廃した。今後さらにマレー人優遇政策が見直される見通しである。 

多民族をうまく融合し、成長の波に乗ったマレーシア。この国を先進国というさらなる成長ステージに導くことができるか、転換期を迎えたブミプトラ政策のかじ取りにも注目したい。

 

 

 

kl2.JPG(マレーシア日本人商工会議所 事務局長 長瀬 栄治)