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ベトナム経済を牽引する南部経済圏の動き(海外レポート・ホーチミン)

 南北に長いベトナムにおいて、その経済発展を支えてきたホーチミンを中心とする南部経済圏。外国投資認可累計額をみても、南部経済圏19市・省だけで50%を超える。ベトナムの動きを把握するには、ハノイを中心とする北部経済圏とともに、南部経済圏の動きをフォローすることは不可欠と言える。

 

▼南部経済圏に拠点を置く日系企業の特長

 20107月時点のホーチミン日本商工会(JBAH)の会員数488社の内訳を見ると、製造業が全体の半数を占め、サービス、貿易、運輸、建設、IT、金融・保険と続く。特に製造業は、ホーチミン市のみならず、ビンズン省、ドンナイ省、バリアブンタウ省など、近郊の工業団地に進出している。企業規模の面では、古くから縫製や食品加工に従事する製造・貿易企業、独立系のIT企業など、比較的中堅・中小企業の進出が多くみられる点も特徴である。

 

▼従来の進出パターン

 ホーチミン市周辺に進出するメリットとして、①短い通勤時間、②優秀な労働力の確保、③比較的整った物流インフラ、④日系の工業団地の存在、などが挙げられる。また、北部との比較においては、南部は、港湾から工業団地までの距離が短いことも優位な点だ。このため、従来は製造業を中心に、「製造拠点」もしくは「輸出加工基地」としての進出パターンが定着していた。

 一方、091月から一部の工業団地や優遇分野を除き、新規に工業団地に進出する際の法人税のインセンティブが廃止されるなど、製造業にとっては厳しい政策変更が行われた。こうした中、製造業においても輸出一辺倒ではなく、人口8,600万人のベトナムを「有力な販売先」とみなし、国内販売を強化する動きが強まってきた。

 

▼キーワードは「国内販売」ベトナム最大の小売企業サイゴンコープ.JPG

  政府統計を見ると、ベトナム人一人当たりの名目GDP1,000ドルを超え、ハノイ市で2,000ドル、ホーチミン市は2,500ドルと、経済発展に伴い確実に所得が増加している。また、年間80億ドルにも達する越僑と呼ばれる親戚からの送金額のうち、50%以上がホーチミン市等、南部経済圏に流入している。リーマンショックの影響があった09年も、小売販売額は前年比19%の伸びを示すなど、個人消費の強さを裏付ける結果となっている。従来からホーチミン市等南部経済圏を中心に、スーパーなどモダントレードが発展してきたこともうなずける。

 さらに、09年1月から流通分野(小売・卸)への外資100%の事業参入が認められたことから、流通業の進出や、製造拠点を持たないメーカーが販売会社を設立する動きが加速している。

 一方で、流通分野への参入には課題も多い。二店舗目以降の許可は、①出店地域における小売店舗数、②市場の安定性、③地域規模など、行政が実施するEconomic Needs Testにより審査されてことになっている。しかし、この調査の詳細規定が現時点で不明であることから、多店舗展開を目指す業態は様々な進出形態を検討することが必要だ。

 

▼情報収集は念入りに

 ベトナムでは法律や解釈が頻繁に変わる。進出にあたっては、事前の情報収集が鍵となる。ベトナムは建国35年を迎えた若い国であり、成長が期待されている。この国の長所、短所を中長期で捉える視点が重要だ。

 

(ホーチミン日本商工会 事務局長 西田 昌弘)

 

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